老犬の認知症が心配｜今日からできる生活習慣の見直し５つ

「最近うちの子、夜中にうろうろしたり、呼んでも反応が鈍くなってきた……」
それ、もしかするとシニア犬の認知症のサインかもしれません。

おやびん

・・そういえば夜中に床、掘ってたよね

わ、わしちょっと寝ぼけちゃったのよ

タフィ

犬も人間と同じように、高齢になると認知機能の低下（いわゆる“犬の認知症”）が進むことがあります。でも進行を少しでも遅らせるために日常生活の工夫や習慣の見直しでできることはたくさんあります。

この記事では、シニア犬の認知症予防・進行抑制に役立つ5つの生活習慣をご紹介します。

この記事がおすすめのわんこ

【シニア前期】対象：シニアになる前、あるいはシニア期に入り今までと違う行動が見えてきたわんこ向けの記事です。

認知症ってどんな状態？

シニア犬の認知症（犬の認知機能不全症候群）は、以下のような症状が見られます：

夜中に徘徊したり鳴いたりする
同じ場所をグルグル回る
名前を呼んでも反応が鈍い
トイレの場所がわからなくなる
食欲が急に落ちる、または逆に増える

これは脳の神経細胞が減ったり、働きが鈍くなることで起こる変化です。完全に止めることは難しいですが、「進行を遅らせる」ことは十分に可能です。わんこのいつもの毎日にちょっとした工夫をプラスしてみましょう！

1. 毎日、脳を使う“刺激”を与える

脳も筋肉と同じく、使わなければ衰えていくものです。認知症予防には日々の「適度な刺激」が重要です。

おすすめの習慣

「おやつ探しゲーム」：タオルや毛布の中におやつを隠して探させる
コマンド練習：「おすわり」「まて」など簡単な指示を繰り返す
おもちゃを使って軽い遊び（知育トイを使うのも◎）

我が家が良くやるのはおやつ探しゲームです。部屋中に隠します。シニアになってからは鼻の利きが悪く上手に探せない時もあるのですが、それでも嬉しそうに探します。室内の運動も兼ねて少し高いところに隠したりしています。

無理なく楽しめる範囲で、脳に“いつもと違うこと”をさせることがポイントです。

2. 毎日の散歩は“いつもの道＋少し変化”が効果的

シニア犬になると散歩の距離は短くなりますが、外の景色・匂い・音は良い刺激になります。

ポイント

散歩コースを変えてみる（左右を逆に歩く、途中の道を変えるなど）
無理のない範囲で毎日歩く習慣を維持する
嗅覚を使わせるように「匂い嗅ぎの時間」をゆっくりとる

飼い主に時間の余裕がないときはなかゆっくり散歩する時間をとるのは難しいかもしれませんが少しコースを工夫するだけでもわんこには良い刺激になります。

タフィ

わしこっちに行きたい

おじいちゃんは割と違う道を選ぶよね

おやびん

外の世界とのつながりは、心の安定や認知刺激につながります。

3. 食事に「脳にいい栄養素」をプラス

シニア犬の脳に良いとされる栄養素を一覧表にまとめました。

栄養素	主な効果	代表的な食品・サプリ例	主な研究・文献
DHA・EPA（オメガ3脂肪酸）	脳神経の保護、抗炎症作用、シナプス機能の維持、認知機能の改善	サーモン、イワシ、魚油サプリ	Pan et al. (2008)：「オメガ3脂肪酸は老犬の認知機能を改善する可能性がある」
ビタミンE・ビタミンCなどの抗酸化物質	酸化ストレスから脳を守る、細胞老化の抑制、認知機能の維持	緑黄色野菜、ブルーベリー、サプリメント	Milgram et al. (2002)：抗酸化栄養素が犬の認知機能に与える影響を検証
SAMe（S-アデノシルメチオニン）	神経伝達物質の合成サポート、気分安定、記憶力の改善	獣医処方のサプリ（Denosylなど）	Araujo et al. (2011)：老犬の認知症に対するSAMeの改善効果
MCT（中鎖脂肪酸）	脳の代替エネルギー源（ケトン体生成）、認知症の進行抑制	ココナッツオイル、MCTオイル配合フード	Pan et al. (2010)：MCTの摂取により認知機能の改善がみられた実験結果
ビタミンB群（B6・B12・葉酸など）	神経伝達物質の合成促進、脳内ホモシステインの低下により神経保護	レバー、卵、緑葉野菜、サプリメント	Zicker (2005)：ビタミンB群による脳機能維持への寄与

家庭での摂取法と注意点です。

栄養素	家庭での摂取方法	注意点
DHA・EPA（オメガ3脂肪酸）	・犬用フィッシュオイルサプリ（例：サーモンオイル）・サバやイワシなどの青魚をよく火を通して少量・ドライフードに「オメガ3強化」タイプを選ぶ	魚の骨・塩分に注意。人間用サプリはNG（添加物あり）。
ビタミンE・C・α-リポ酸・L-カルニチン（抗酸化物質）	・かぼちゃ、ブロッコリーなどをトッピング・加熱したレバー（ビタミンE・B群が豊富）	過剰摂取に注意。野菜は細かくして消化しやすく。
SAMe（S-アデノシルメチオニン）	・獣医師推奨の犬用サプリ（例：ノイロアクト、Denamarinなど）	空腹時に与えると吸収率が高い。獣医に相談推奨。
MCT（中鎖脂肪酸）	・ココナッツオイル（MCT含有）を小さじ1/4～1/2・MCTオイル（犬用）をフードにかける	急に多く与えると下痢を起こすので、少量から。
ビタミンB群（B6、B12、葉酸）	・茹でたレバーや卵黄をトッピング・犬用サプリや総合栄養食フード・ブロッコリー、ほうれん草（よく火を通して刻む）	加熱調理で失われやすい。与えすぎに注意。

ほとんどの栄養成分はシニア犬用総合栄養食に入っていますので総合栄養食で摂取するのが基本です。フードをあまり食べなくなって家庭で手作りごはんを食べているわんこは足りない分をトッピングする程度に補うと良いでしょう。これらは過剰に摂取すれば認知症にならないというものではありません。サプリメントを取り入れる際は獣医に相談推奨です。特に持病がある子は必ずかかりつけ医の指示に従ってください。

お家で出来るおすすめの栄養対策