いつの頃からかソファーに飛び乗るのに失敗してお腹をぶつけるようになった。そういう時はバツが悪そうに下を向き一段下のクッションの上で丸くなって背中を向ける。私たちにできることは犬のプライドを傷つけないように過度に心配せず何事もなかったように振る舞うこと。大丈夫だよと伝えること。
シニア犬との生活は切ない。
人間の数倍の速さで時が過ぎるのを見せつけられるからだ。
ついこの間まで走って追いかけていたお気に入りのボールも今ではワンコグッズの箱の隅で忘れられたまま。ドッグフードを残すようになり散歩の距離も短くなった。朝起きてこない日もしばしば。
人生ならぬ犬生の終盤に差しかかる無二のパートナーに今日も私は問いかける。
幸せですか?
シニアを感じさせる変化
一般的に犬も7歳を過ぎるとシニアと呼ばれるようになります。人間のようにミドルはあまり使いませんね。7歳だと個体差もありますがまだまだ元気真っ盛り。でも確実に歳はとっていて少しずつ身体も心も変化していきます。
生後4か月で家族になったタフィは本当に元気いっぱいでやんちゃな子犬でした。遊んでも遊んでも遊び足りない顔をして次は何をして遊ぶの?と純粋できらきらした瞳をこちらに向けてきました。特に好きだったのがボール遊び。家の中でも投げると全力で走って取りに行きました。
いつまでもやんちゃな子もいますが成犬になると次第に落ち着き立派な大人わんこへと成長していきます。共働きの我が家では早朝に散歩や食事といったわんこのお世話を済ませ昼間はお留守番という生活でした。
それがシニア期になると人との共同生活はどのように変わっていくのでしょうか?
以下は我が家の例です。わんこは犬種や性格・環境によってそれぞれ個体差があると認識したうえで参考程度に読んでいただけたら幸いです。
10~12歳:健康診断で見えてくるもの
人間もそうですがシニアになると定期健康診断を勧められます。タフィも10歳を前にした健康診断で心臓にわずかな変化が見られ、それが翌年僧帽弁閉鎖不全症ステージB1になりました。といってもそんなに珍しい病気でもなさそうで10歳以上のわんこの半分は罹患しているというデータもあるそうです。私は知らなかったのですが。
他にも肝臓の数値とか脾臓に影があるとかコレステロール値がどうのこうのとか、見た目ではわからない変化を健康診断で知ることができます。10歳は人間でいうと56歳ぐらい。そう考えると想像しやすいかもしれません。
この頃から少しずつですがあれ?と思うような気づきが出始めました。
- 少し高いところに飛び乗る時にごくたまに失敗する。
- 硬いおやつを残す
- 日常生活の中で首や脚を痛める
- 瞳の色がくすんで見える
そうはいってもまだまだ元気で早朝から散歩に起こされ、ご飯もいっぱい食べてよく寝るわんこだったので特に強くシニアを意識することもありませんでしたが13歳の健康診断で心臓のステージが進んでいることがわかりました。
13~14歳:急激な変化に戸惑うなかれ
なんとなく薄っすらと感じていた犬の老いが次第にはっきりとわかるようになります。
- 早起きしなくなる
- 散歩に行きたがらない
- ご飯を食べる量が極端に減る
- 食べ物を選り好みする
- おなかが弱くなる
- 遊ぶより撫でられるほうが好き
- 夜鳴きする
- 赤ちゃん返りをする(甘えん坊になる)
- 腰が曲がる
- 腰が曲がったせいでトイレを失敗する
- 毛つやが悪くなる
- 瞳が白くなる
ちょっと思い浮かべただけでもこんなにあります!
以前は散歩に行こうとわんこに起こされていたのですが今は逆で散歩に誘ってもあまり行きたがりません。朝散歩に行かないと昼間はお留守番なので結局散歩できない日が増えてしまいました。でも仕事がお休みの日はゆっくりとした朝を過ごしてゆっくりとお散歩に向かってくれます。私たちとわんことの間で時間の流れや使い方にすれ違いが生じているのだと感じるようになりました。
生活スタイルを見直す
今までの生活スタイルではシニア犬との共同生活に合わない。

わし、朝はゆっくりがいいワン
生活のリズムを合わせられないかな?

散歩も出来ないような毎日ではどんどん衰えていくばかり。
そこで思い切ってフルタイム会社員という仕事を辞めてみることにしたのです。一言でいうと簡単ですが決断するのに葛藤がなかったわけではありません。色々な不安もありますし。でも決め手になったのはやはり十数年間家族として相棒として寄り添ってくれたわんこだから穏やかに健やかにシニアライフを過ごして欲しい。そんな思いにほかなりません。
自分のシニアライフも考える
老後はやりたいことがあって、老後になったら行きたいところもたくさんあって、etc
でも老後っていつから?定年後?年金もらい始めてから?そもそもこれからの時代は老後なんて来ないかも?老いたわんこを見つめながらそんなことを考えてしまいます。
限られた時間をどう生きるかは犬も人間も同じ。後悔しない選択を続けたいものですね。