10歳になる時の健康診断で指摘を受ける
「ちょっと心臓の壁が厚くなってますね。でもまだ軽いから大丈夫」と言われたのは10歳の誕生日前でした。
初めて受けた健康診断。
心臓のイラストを見せられながら説明を受けても当時はあまりピンとこなくて、そうですかとだけ答えたような気がします。それがどういうことを意味するのか全く想像が出来ずにいました。
翌年には心臓僧帽弁閉鎖不全。ステージB1。それでも飼い主が見る限りは今までと変わらず無症状。
我が家のシニア犬タフィの経験をお話しします。
犬種はチワワ×トイプードルのチワプー。去勢手術をしたオスのわんこ。記事執筆当時14歳。
健康診断で同じように言われた方や健康診断を受けさせようか迷っている方の何かの参考にでもなればと思って書きます。
心臓僧帽弁閉鎖不全症とは心臓の弁が加齢による変形などでちゃんと閉じなくなって血が逆流してしまう病気です。比較的小型のシニア犬に多いらしく早期発見・適切な経過観察と治療がとても大切です。
最初の異変:息が荒い・時々ゼイゼイは要注意
それからは毎年の健康診断+3〜4ヶ月に一度の心臓エコー検査。
特に急激な変化もなく経過観察が続き、何となくこのまま歳をとっていくのかなと油断していたのだと思います。
毎年の健康診断の予約が取れず予定より少し先にのびてしまって、定期的なエコー検査も健康診断の時にまとめてみてもらおうと思っていました。
気づけば13歳の誕生日を過ぎていて前回のエコー検査から半年くらい経ってしまいました。
この頃、散歩中や食事の時などにゼイゼイと苦しそうな呼吸音を発することが増えてきました。ここで私はあることが気になっていました。それは「犬の咳」についてです。
これまでエコー検査のたびに獣医師が『咳はしていませんか?』と聞いてくれて、私はずっと「していない」と答えていました。でもわんこのゼイゼイは以前から続いていて、水分か何かが気管に入ったのかな?と思って見過ごしていたのです。
苦しそうなゼイゼイの頻度が増してきて、ようやく「もしかしてこれが犬の咳なのか?」と疑うようになり、次の健康診断で先生に聞いてみようと思ったのでした。
夜明け前の異変で目が覚めて
健康診断を目前にしたある日の朝方、おかしな息づかいが聞こえてきて目が覚めました。
いつも私の足元で寝ているワンコがスフィンクスの格好をしたまま身体を硬直させていました。小さな体全体で息をしているようで息が荒く呼吸のテンポが速く、明らかに普通ではない様子でした。
病院に連れて行こうかどうしようか。
スマホで動物の時間外救急病院を検索したけど歩いて行ける距離にはありません。
もう少し待てばいつもの病院開くけどそれまで待ってていいのかな?
タクシー呼ぼうか。でもタクシーってペット乗せられるんだっけ?
どうしよう!!!

おやびん、落ち着いて
パパパ、パニック(汗)

頭の中がぐるぐるになり、硬く丸めた背中を撫でながら情けないことに何も決断できないまま時間が過ぎました。
少し落ち着いたワンコが水を飲みに歩き出したけれど、やはり呼吸はまだ苦しそう。
その様子をスマホで撮影して朝一で行きつけの動物病院へ駆け込みました。
すぐに心臓エコーと気管の検査をすると、心臓(心室)肥大によって気管が押し潰され少し狭くなっていること、肥大の原因である心臓僧帽弁閉鎖不全のステージが進んでいることが判明したのです。
投薬を始める
そろそろ薬を飲み始めた方が良いですね。
獣医の判断ですぐに投薬を始めることが決まりました。強心剤。それと血管拡張剤・利尿剤に気管支拡張剤。
これまで病気らしい病気をしてこなかったわんこと私にとって突然のお薬生活。しかも大量!(4種類×朝晩2回×毎日)
でも苦しそうなワンコを見るのは本当に辛くて。薬を飲んで少しでも楽になるのならと祈る思いで投薬を始めたのです。
結果、一年近く経ちますが、あの夜のような苦しげな仕草は今のところ見られません。ゼイゼイという苦しい咳き込みも減りました。
今後ステージがさらに進むとまた違う対応が必要になるかもしれません。薬も増えるかもしれないし救急病院に駆け込むこともあるかもしれません。
この心臓の病気、実は小型犬に比較的に多いらしいです。最初は無症状ですがやはり健康診断で指摘を受けることが多く残念ながら手術以外の方法で治癒することはないそうです。
薬は飲み始めたら一生。
うちの子のようなケースもあれば、急激に進行するケースもあるらしく判断は難しいと思います。だから病院での健康診断や定期検査も大切ですが、何よりも飼い主による毎日の観察と緊急時の備えが大事だなと痛感しました。
飼い主にできることは何か?(私の反省点)
少しでも異変に気づいたらすぐ病院へ
私の反省点は異変に気づいていたのに「次の健康診断」まで待ってしまったことです。もうすぐ健康診断だからその時に、と思ってしまったことです。
健康診断の目的は、わんこの変化にいち早く気づいて対処してあげることで、それはいつも一緒に過ごしている家族だから出来ることでもあります。

わし、今日は散歩行かない
ごはん食べない
寝る
んんん?様子がおかしい?

時々ゼイゼイしてるなぁなんて気づいたら、それはわんこが『ちょっと苦しい』と一生懸命に教えてくれているのかもしれません。
緊急事態への備えは健康な時こそ大切
心臓僧帽弁閉鎖不全症といわれていたのに、何かあった時にどうするかの準備もまるで出来ていませんでした。
昼間だったらいつもの動物病院へ連れて行けるけど、夜間だったら?
車で連れて行けたらいいけどもし自分で運転して行けなかったら?
救急病院に連れていく目安ってどれくらい?
わんこが元気な時は救急病院なんて考えたこともありませんでしたが、こういうことがあってから我が家では動物の夜間救急病院の連絡先と地図をすぐ見える場所に貼ることにしました。
すぐ見える場所にある大きな文字を目で見て読んで、まず飼い主が慌てないためにです。
動物を乗せても良いタクシーというのもあって、その連絡先も一緒に貼ってあります。
緊急事態なんてない方が良い。できれば考えたくない。
でも必ず考えておかなければいけない大事なことです。それは可愛いわんこのためにです。
私の反省点をぜひ皆さんは活かして、わんこのための備えをお願いします。備えのために検索してこの記事を読んでくれたのだと思います。病気に負けずに頑張りましょう!
わんこと飼い主さんがどうか末永く幸せに過ごせますように。
